各種健診(検診)異常
各種健診(検診)異常
尿潜血陽性とは、尿に赤血球の成分であるヘモグロビンが混じっているということです。この結果自体は珍しいことではなく、何も異常が見つからないことが多くあります。一方、血尿とは赤血球自体が混じっているということで、尿潜血とは少し意味が異なります。もちろん、血尿の場合でも尿潜血は陽性になります。血尿については後述します。
尿沈渣という検査を追加することで血尿かどうかは判断できますが、一般的な健診では尿沈渣は試行せず、尿潜血の検査までを行うのが一般的です。尿潜血が陽性になった場合には、まず血尿であるかどうかの判断を行います。
尿潜血陽性で見つかる病気には以下のようなものがあります。
泌尿器科関連疾患以外でも以下のような場合で尿潜血が陽性になることがあります。
尿潜血の検査はヘモグロビンに反応しますが、ヘモグロビンに似たミオグロビンという成分にも反応します。ミオグロビンは筋肉中に含まれるため、筋肉が損傷した場合などに尿中にミオグロビンがでることがあります。横紋筋融解症や急性多発性筋炎など筋肉に関連する病気で尿潜血が陽性になることがあります。
血液をさらさらにする目的で用いられる薬が原因で尿潜血の陽性になることがあります。
タイミングをずらして再検しましょう。
溶血性貧血は赤血球を壊してしまう自己免疫疾患です。赤血球が破壊されることで大量のヘモグロビンが放出されるため、尿に混じって尿潜血が陽性となります。
血尿は、尿中に一定量以上の血液が含まれている状態を指します。尿潜血のところでも説明しましたが、血尿は尿沈渣という検査で判断されます。泌尿器科の検査で最も一般的な検査といってもよいかもしれません。血尿はさまざまな原因によって引き起こされる可能性があり、原因を特定するためには専門科による評価が必要です。
血尿の主な分類には以下の2つがあります。
尿検査で赤血球が見つかるが、肉眼的には尿が異常な色をしていない場合をいいます。
7割の方には病気がないといわれていますが、逆に3割の方には何かしらの異常がみられます。尿細胞診や超音波検査、場合によってはCT検査等で精密検査を行います。
異常が見つからなかった場合は経過観察を行い、3年以上増悪がなければ問題ないと考えられます。
尿が異常な色(ピンク、赤褐色、茶色など)をしていて、明らかに血液が混じっている状態のことを言います。
7割の方に何かしらの異常があると考えられ、しっかりした精密検査が必要です。
尿細胞診、超音波検査はもちろんですが、膀胱鏡やCTも積極的に行うことが勧められます。
血尿の原因には以下のようなものがあります。
血尿が継続する場合や他の症状とともに現れる場合は、特に迅速な専門科による評価が重要ですが、いったん血尿がでても改善してしまい、そのまま放置されてしまうことがあります。膀胱がんに代表される血尿を症状とする泌尿器科がんは、初期の場合には血尿が一度だけ出て、何もせず治まるケースがほとんどです。一度でも肉眼的血尿が出た場合には、泌尿器科専門医にかかることが大切です。
健康診断の超音波検査で腎臓等に異常が見られた場合には、泌尿器科での精密検査が必要です。
腎結石、腎のう胞、水腎症(腎臓からの尿が流れていかず、うっ滞している状態)、腎腫瘍疑いなどが代表的な異常です。
超音波検査では、検査のタイミングでしかわからないことがあり、ほとんどのケースでは超音波検査の再検が必要になりますが、CT検査まで行ったほうが良い場合も多くみられます。
早期の腎がんについては、ほとんどが健康診断や人間ドックで見つかりますので、異常があった場合には積極的に泌尿器科の受診をしてください。
泌尿器科のがんにおいて、もっとも重要な腫瘍マーカーは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)です。
PSAの異常があった場合には、年齢・数値にもよりますが、生検という精密検査が必要となることがあります。その判断は泌尿器科専門医がおこないます。
一般的にPSAが4-10の場合では、前立腺がんの可能性が3-4割程度と言われています。
当院でもPSA検診を行えます。
また、PSA異常高値であった場合のご相談にも乗れます。
生検後の経過観察も重要です。生検時はがんが小さくて見つからなかったという可能性もあるからです。当院では再生検を行うかどうかの判断を関連病院と共有したガイドラインに従い行っております。